■ひみつ基地

 みなさんは、小さい頃どんな『ひみつ基地』を持っていましたか?

 『ひみつ基地』って、なんか、かっくいいよね。幼稚園に入るか入る前ぐらい、誰しも世界でいちばんの『ひみつ基地』を持っていたと思います。なんでこんな事を思い出したのかというと、最近、幼稚園児の視線の高さでものを見る機会があったから。

 おいらにも、誰にも負けない『ひみつ基地』がありました。それは家の前に広がっていた、まだ家も建っていない半分崖の広場でした。今は6軒程家が建っていますが、桜の木はまだ残っていて、4月になるとなぜだか『ひみつ基地』で遊んだ頃を思い出します。その空き地は、地面を掘り起こしたショベルカーがずいぶん長いこと放置された、それはそれは素晴らしい場所でした。土は、ショベルカーのタイヤの後でがたがたで、いわば ちびっ子の戦場でもあった記憶があります。ちびっ子から見れば、大地ともいえる広さの戦場は遊び尽くせない魅力を多く含有していました。いかにして戦車(ショベルカー)まで速く走り抜けるか、とか遊ぶのに夢中で、いつもすぐに夕方になってしまって帰るのが名残惜しく、家の中から眺めていたこともあったように思います。

 そしてその広場の崖の斜面は45度ぐらいあり、はじめは段ボールで滑ったりして遊んでいました。しかし、草がなくなって土がむき出しになると、いつしか斜面にひとつの穴が掘られるようになり、誰かがそこで遊ぶと必ず、穴を少し掘って遊んで帰るというようになっていました。そしてついには、幼稚園児が1人半入れるぐらいの穴になってしまい、いつしかそこは本当にみんなの『ひみつ基地』になっていったのでした。

 その『ひみつ基地』は、別段すごいものが隠されていたわけでもなく、枝や石が置かれているだけだったように思います。でも、それで十分でした。その頃はまだゲーム機などなく、視覚にばりばり働きかけるようなものはなかったので、ただの石ころでも想像は無限に広がっていきました。

 「またまたぁ、思い出は美化されるもんだろ」って思われる人もいると思いますが、本当に上記のような場所があり、そのままを書いただけです。おいら自身も『ひみつ基地』は覚えてはいたのですが、詳細までは今までケロッと忘れていました。なぜだか、ふと断片を思い出し、文章にしてみる経緯でそれがつながり、今や、帰るときの名残惜しい夕焼けの空の下の空き地はカラーで脳裏に浮かびます。どうでしょう。みなさんにも、必ず、『ひみつ基地』があったはずです。

 自分に素直に生きていた頃に造りあげた、『ひみつ基地』。これは一生のうちでの最高傑作品ではないかと思います。今はほとんどアスファルトで固められた道路。公園もなんだか小綺麗すぎてよくないなぁと思ったりします。

 もっとワイルドな場所があっても、子供は親が思うほど大けがはせずに遊んで帰ってくるはずだと思います。ワイルドな公園があってもいいよなぁ。

 穴のあったあたりはまだ桜の木があるので、今度見に行こうと思う。入り口は草に埋もれてるんだろうか?すぐそこなんだけどね。

 − 近くて遠い場所 −

 あなたの『ひみつ基地』はまだ近くにありますか?